発熱、熱性けいれん

こどもの発熱

こどもは大きくなるまでに何度も熱を出しますが、いつもは元気なお子さんが急に熱を出すと心配になると思います。特に熱が高い時は不安になると思いますが、熱が高いからといって病気が重いというわけではありません。体内で増えてしまったウイルスや細菌をやっつけて体を守ため、生体防御として熱が出ており、お子さんの免疫が頑張っている結果でもあります。

熱がある時のホームケア

体を冷やすか、温かくするか

体を冷やすかどうか判断に悩むことがあると思いますが、(1)熱の上がりかけで手足が冷たく寒そうにしている時、(2)熱が上がりきって顔が赤く手足も温かい時、にわけて考えます。
(1)の手足が冷たく寒そうにしている時は冷やさずに、服や布団で寒くないようにしてあげましょう。
(2)の顔が赤く手足が温かい時は、熱がこもらないように、服を薄着にして布団をかけすぎないようにしましょう。体を冷やす時には足や腕の付け根や首回りなど大きな血管が通っているところを冷やすと効果的ではありますが、お子さんが嫌がっている場合は無理に冷やさなくても大丈夫です。

水分や食事は

食事は消化の良いものがおすすめですが、熱があっても嘔吐や下痢がなく食欲がある場合は通常の食事に近いもので大丈夫です。
熱が高い時はいつもより水分を消耗してしまいますので、少しずつでもこまめに水分補給をしましょう。あまり食事が摂れない時は、お水やお茶だけで過ごすと血糖や電解質が乱れてさらに元気がなくなることがありますので、子供用のスポーツドリンクや経口補水液など糖分や塩分を含む水分を与えるようにしてください。スポーツドリンクの味が苦手なお子さんは、ブドウ糖の入ったジュースや、塩分の入ったお味噌汁やスープなど、水分・糖分・塩分を工夫して与えるようにしましょう。

汗をかいた時は

汗をかいた時は体が冷えないように着替えますが、前開きの服にする、ガーゼやタオルを背中に入れて汗をかいたら抜き取るなど、着替えやすい工夫をして寝かせるとお子さんを起こさずに着替えさせることができます。

解熱剤はいつ使うか

熱の数値より、症状で判断します。たとえ40℃あっても元気な時は、解熱剤を使用せずゆっくり休みましょう。ただ、38℃以上の熱+他の症状が辛い時は(だるくて眠れない、頭や体が痛い、水分が上手くとれない、など)、解熱剤を使って睡眠や水分を十分に確保することで、体をよく休める手助けになります。解熱剤を使用する一番の目的は「辛い症状を楽にする」ことで、熱を下げることではありません。解熱剤を使って熱が下がらなくても、少し楽になるようであれば心配しなくて大丈夫です。
また、お子さんに使用しない解熱剤の種類もありますので注意しましょう。お子さんには「アセトアミノフェン」という成分の解熱剤が最も安全です。大人や兄弟の総合感冒薬や解熱剤を使うことはやめましょう。

早めに受診が必要な発熱

  • 生後4ヶ月未満の赤ちゃん(元気でもすぐに受診してください)
  • ぐったりしていて元気がない、とても機嫌が悪い、顔色が悪い
  • ボーッとしていたり、けいれんする
  • 呼吸が苦しそう・肩で息をしている・呼吸が速い
  • 何度も嘔吐する、水分をうまくとれない
  • 半日以上、尿が出ていない

熱性けいれんとは

主に6ヶ月から5歳位までの乳幼児期に、38℃以上の急な発熱に伴って起こるけいれんや一時的な意識障害のことで、最初にけいれんを起こしてから発熱に気づくこともあります。発熱後24時間以内に起きることが多く、手足をガクガクと震わせる、白目をむく、体をつっぱる、息を止めて顔色が悪くなるなどの症状が見られます。はっきりとした原因はわかっていませんが、発達段階においてまだ脳が未熟な時期であり、急な体温の上昇に脳細胞が刺激を受けてしまいけいれんが起こります。熱性けいれんは小児の約8%にみられ、3割くらいのお子さんが何度か熱性けいれんを繰り返すことがありますが、6歳前後ではほとんど起こさなくなります。通常みられる熱性けいれんで脳に後遺症が残ることはなく、経過は良好です。

熱性けいれんが起こった際の対処法

お子さんがけいれんした時には冷静ではいられませんが、できるだけ落ち着いて行動してください。熱性けいれんであれば、5分以内にはけいれんが落ち着くことがほとんどです。嘔吐している場合は顔や体を横に向けて、吐いたものが喉に詰まらないようにします。顔色が悪い時は、顎を少し上に押し上げて気道が通りやすいようにします。可能であれば、けいれんの様子をよく記憶しておいていただけると、正確な診断につながります(何分続いているか、目はどこを見ているか、手足のガクガクや突っぱりは左右対象かなど)。
危険な対処をすると窒息することがありますので、舌を噛まないようにと口の中にタオルを入れたり、割り箸などを歯の間に挟んだりすることはやめましょう。

受診のタイミングと方法

5分以上けいれんが止まらない場合、けいれんが落ち着いても顔色や意識が戻らない場合、けいれんを繰り返してしまう場合は、救急車を呼びましょう。
5分以内にけいれんが落ち着いた後、意識がはっきりあっていつもの様子に戻るようであれば、救急車を呼ばずに医療機関を受診しても大丈夫です。
初めての熱性けいれんではなく、5分以内のけいれんで意識もすぐに戻って保護者の方の心配が少ないようであれば、夜のけいれんの場合は自宅で経過をみて翌朝の受診でもよいでしょう。

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